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REDS COLUMN
2023年05月07日

みんなで闘いつかんだ必然のアジア王者

結果論でもいい。それでも、身近でチームを見続けてきた立場として、浦和レッズのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022優勝は、必然だったと思うのだ。 5月6日16時10分ごろ。『決戦』の地に到着する浦和レッズの選手たちをファン・サポーターが迎えた。大小無数のフラッグと圧倒的な声量による雰囲気は、歴戦の猛者たちが中心となってつくりだされていたことは間違いない。 ただ、その中には、片手で持てる小さいものながらフラッグを振り、大きな口を開けてチャントを歌う小学生くらいの少年もいた。 決戦の数日前、伊藤敦樹に聞いていた。赤ん坊のころからゴール裏にいて、物心がついたときから夢に見ていたレッズの選手になり、満員のスタジアムでアジアの頂点を目指す人生はかなり稀有ではないかと。すると伊藤は首を振りながらこう言い放った。 「これからいっぱい出てきますよ」 もしかすると、さきほどの少年は「いっぱい」のうちの一人になるかもしれない。 バスに近寄る群れとその少年から少し離れた場所には、3歳くらいだろうか?28番のユニフォームを着て両親に挟まれながら手拍子する女の子もいた。 性別は違えどやはり伊藤を重ねてしまうその少女は、三菱重工浦和レッズレディースの選手になるかもしれないし、ゴール裏で熱狂的に応援するサポーター、あるいは伊藤の母親のようになるかもしれない。 こうして浦和レッズの歴史はつながっていくのか。強烈な光景を目の当たりにしながらそんな妄想をしていると、目頭が熱くなってくる。と同時に、数日前の岩尾 憲の言葉を思い出していた。 「キクさん、まだ早いよ」 そのときも泣きそうになっていた。試合前日に掲載したインタビューを読んでくださった方もいると思うが、その取材中のこと。時に言葉を詰まらせ、思いをはせるように遠くを見ながら切々とファン・サポーターへのおもいを語る彼の言葉を聞き、我慢しなければ涙を流してしまう状態だった。 その気持ちを正直に伝えると、彼は呆れもはらんだような笑顔でそう言ったのだった。 関根の態度も思い出す。勝ったときにどんな気持ちになりそうかと尋ねると、関根は口を真一文字にして首を振った。皮肉を言ったり冗談でこちらをからかってきたりするいつもの関根ではなかった。言葉...


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