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REDS COLUMN
2021年03月13日

あの一戦に懸けた思い、今後への切望

蹴りたいとは思っていた。ただ、事前に決まっていたわけではなかった。 ボールをもった阿部勇樹が近づいてくる。ボールを渡たされ、お尻を軽く叩かれる間にキャプテンからは「蹴れ」という言葉と共にもう一言掛けられた。 「楽しんで」 気持ちがスーッと楽になるのが分かった。 阿部から受け取ったボールを一度置き、スパイクの紐を締め直す。ボールを持ち直し、ペナルティーマーク付近の地面を踏み固めてボールをセットする。その場所を目視すると、もう一度ボールを持ち、また地面を踏み固めた。 深く息を吐き、主審のホイッスルを聞いて助走を開始する。左足を力強く踏み込み、右足を振り抜いた。 蹴る直前までコースを決められていなかったボールはしかし、勢いよくゴール右上の隅に飛んだ。GKの逆を突いたが、予測したとて手が届くGKは世界中を探してもいない。そんな位置だった。 静寂に包まれたスタジアムにボールとゴールネットが当たる音が響く。その瞬間、スタンドから万雷の拍手が送られた。杉本は駆け寄るチームメートを笑顔で抱...


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