その日、埼玉スタジアムに集まった400人を超える報道陣は、新たなタレントとの出会いに色めき立っていた。 「すごい選手が加わったね」 「可能性を感じさせる」 「リオ五輪の有望株だ」 関根貴大がリーグ戦デビューを飾った2014年3月23日、清水エスパルス戦のことである。関根は平川忠亮に代わって後半から右ワイドに入ると、76分、大きなサイドチェンジから相手の2選手の間を強引にこじ開け、縦に突破。ゴール前に折り返したボールが原口元気の同点ゴールにつながった。強烈なインパクトだった。 Jリーグ初の無観客試合として開催された第4節は、当然ながら多くの関心を寄せられ、埼スタには日本代表ワールドカップ予選並みの大勢の取材陣が集まっていた。 特殊な試合だっただけに、ルーキーのリーグ戦デビューというテーマの扱いはささやかなものに...

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