今年も残すところあと数日となった。 天皇杯決勝から一週間が過ぎ、ここ数日で外の世界の空気はさらに冷たさを増してきた。 今は年末の大掃除の真っ最中だ。自分の生活する空間をもう一度見直し、整頓し、必要のないものは処分する。大事なのは常にスペースを作っておくことだといつも意識している。クローゼットも靴箱も引き出しの中も(そして頭の中も)、新しいものが入ってくる空間をいつも確保しておく。そうすることで変化やイノベーションが起こり続けるから。 大掃除の手を少し止めて、コーヒーを淹れながら浦和レッズについて少し考えてみる。 僕が浦和レッズの試合写真を撮り始めたのは、Jリーグが始まった年だ。 元々レッズとはなんの関係もなかったが、当時クラブで働いていたクラブスタッフの方から声をかけてもらい、スポットでの撮影(年に数回ある大事な試合)を頼まれるようになった。 仕事として頼まれたからには、劇的なゴールシーンだとか、歓喜に沸くスタンドとか、そういうものを撮りたいわけだが、当時のレッズは本当に弱かった。試合終了のホイッスルの音が聞こえたあと、スタンドにいるのはものすごい熱量で怒っている人か、ただひたすら凹んでいる人だった。カメラを向けると、なに撮ってんだよこのやろー!と罵声が飛んできた。 ほんとにどうしようもないなあこのクラブは、何度そう思ったかわからない。 でも気がつくと、じゃあまあオレも応援すっか…、そんな感じで自分もいつの間にかレッズの一員になっていた。 あの頃に比べるとレッズもずいぶん強くなったな、と感じるけれど、なんでもっと強くなれないのかな、とも感じる。 30年近く、このクラブと関わっていると、毎年ほんとにいろいろあって、あっという間にほぼ10ヵ月という時間が過ぎてゆく。そして今年もやっぱりそうなった。 新シーズンは、リカルド ロドリゲスというスペイン人監督が徳島からやってきて、FC東京を埼スタに迎えて始まった。 1-1の引き分け、試合内容は意外なほど良かったが、そこからチームはしばらく勝てなかった。 ス...


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