天皇杯の決勝が終わった3日後の夕方、チームの主催する祝勝会の前、少しだけオズワルド オリヴェイラ監督と話をした。 僕は一つ目の質問を投げかける。 「あなたがこのチームに来たとき、まず最初に気になったことはなんでしょうか?」 オリヴェイラ監督は微笑んで答える。 「後半になると、どの選手も足が止まっていた。私が指摘しなくても、みんな分かっていたことだね。走れないってことは、サッカーでは勝てないってことだよ」 僕は質問を続ける。 「戦術的な部分で、このチームに持ち込もうとしたコンセプトはありますか?」 彼はさっきまでの微笑みを一度消して、真剣な顔で答える。 「何をしたいか、と、何ができるか、その2つは異なる。私には、何がしたいかではなく、今手元にあるもので何ができるか、を考える時間しかなかった。だからいつも考えていることを考えた。どうすれば勝てるのか、を。誰がなんと言おうと、私にとって勝つこと以上に大切なことはない」 ついこの間、沖縄県の金武町で行われていたプレシーズンのトレーニングを撮影していたと思ったら、もう今シーズンの全日程が終わってしまった。 あっという間に時間は過ぎてゆく。僕たちの浦和レッズもあっという間にゴールを決めて、あっという間に勝利を手に入れられるようなチームになってほしいと、毎年シーズン前には思うけれど、どちらかというと今年もあっという間にゴールを奪われた印象の方が強い、笑。 昨年のACL制覇から始まった高揚感は、シーズン途中までの失速で一度チャラになり、そこから再び足腰を鍛え直しての再チャレンジ、Jリーグに関してはそんな1年だった。 ラファエル シルバがいきなり中国に移籍し、チームプランが狂ってしまったのは間違いない。おいおい、俺のせいにしないでくれよ、とラファは困惑して言...
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