8月29日の土曜日は、朝から雨が降っていた。少し前までの強烈な暑さは西の空の向こうへと去り、入れ替わりにやってきたのは、もうすっかり秋の色と匂いを身にまとったグレーの空と湿った涼しい風だった。 日産スタジアムの駐車場にはかなり早めに着いた。車を停め、窓を下げると、心地よい風が入ってきた。雨ももう止んでいるようだ。2ndステージ序盤の入り方は良くなかった浦和レッズだが、前節のベガルタ仙台戦では3-1の快勝を演じ、チームは再び上昇気流に乗ったように見えた。それまでの勝てなかった試合や引き分けた試合も、内容自体はそれほど悪いものではなかった。今日は良い試合を見られそうだ。そんな予感がした。 予感は完璧に当たった、もし僕が横浜F・マリノスファンならば。 0-4。両頬が引き攣るような敗戦だった。この日、F・マリノスが見せたサッカーは完璧だった。いや、F・マリノスではない。中村俊輔が完璧だった。フリーキックを奪い、フリーキックを決め、最前線に突っ込み、最後尾に下がり、GK以外のすべての役割を完璧にこなした。コンダクター、まさにこの言葉がぴったりだった。彼がボールに触れるたび、ゲームの流れはガラッと変わった。レッズがマリノスにやられる時は、中村俊輔にやられるとき。この方程式はいつも同じだ。今更言っても始まらないが、浦和レッズは中村俊輔を徹底的に潰すべきだった。 夏休み最後の試合は散々な結果に終...


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