March winds and April showers bring forth May flowers (三月の風と四月の驟雨が五月の花をもたらす) 美しい花の咲いた5月だった。 始まりは5月2日のガンバ大阪戦だった。 浦和レッズは試合序盤から宇佐美貴史とパトリックの2人を強く意識し、ガンバのカウンターを消すところからゲームに入った。ミシャのレッズがこれまでほとんど見せたことのない、あるいは見せることができなかった、とても辛抱強いゲーム運びだった。 この日のサイスタには5万人を越える観衆が足を運んでいた。 思い出すのは、昨季のガンバ戦だ。満員のサイスタで、レッズはガンバ相手にとてもとても大事な試合を0-2で落とした。 後から考えれば(あくまでも後から考えればだけれど)引き分けでよかった試合を、勝ち急ぎ、焦り、結果的に落としてしまった。あとはみなさんご存知の結果である。 しかしこの日、レッズは焦って勝利を求めることはなかった。 「最低でも引き分け、とにかく毎試合がトーナメントの試合のつもりで戦えているのが今季だと思います」 那須大亮の言葉を借りると、こうなる。 僕がレッズ側の人間であることを抜きにしても、この試合は90分を通じてヒリヒリとした、強い緊張感のあるいい試合だった。 そして後半39分、ズラタンが値千金のゴールを決め、レッズは逃げ切った。 試合の翌日、知人のカメラマンは、なんだよレッズのリスクをかけないつまらないサッカーは、とケチをつけたが、きっと彼は浦和レッズが嫌いなだけなのだろう。あるいは逆に好きすぎて、うまく喜びを表現できなかっただけかもしれない。その一週間後、舞台は仙台に移...


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