Web Little Diamonds vol.26
[育成]浦和レッズは10月、浦和レッズのGKを目指す小学5、6年生に向けた『浦和レッズ未来のゴールキーパープロジェクト』を実施した。昨年に引き続いて2度目となるこの取り組みは「優秀な選手たちにこういう機会を利用してもらい、より成長するきっかけにしてもらえれば」(工藤輝央・ジュニアチームコーチ)という意義に基づき、地域貢献活動の一環としてトップチームの土田尚史GKコーチを中心に行われた。
今年は10月の2日、5日、9日の全3回が実施され、19人のGKを目指す小学生たちがトレーニングに臨んだ。初回と3回目はトップチームの練習場である大原サッカー場で行われ、トップチームから加藤順大、岩舘 直の両GKも参加した。2回目は埼玉スタジアム第4グラウンドにて、元浦和レッズGKの都築龍太氏をゲストに迎え、トレーニング後は埼玉スタジアムで行われたトップチームの徳島ヴォルティス戦を観戦した。
トレーニングでは、キャッチングのときの手の出し方ボールを保持する際の手の向き、キャッチング時の倒れ方、ステップの踏み方など、GKとしての細かな基本的な動作を3日間にわたり、積み重ねるように指導していった。また、2回目のトレーニングが行われた5日は台風18号の接近による大雨で開催自体が危ぶまれたが、工藤コーチの「雨の中で行われるゲームもあるし、雨天時におけるボールやグローブ、視界の感覚の違いなどを分かってほしい」との意向によりそのまま実施。参加選手たちはずぶ濡れになりながらも、コーチ陣の指導の下、雨の日ならではのトレーニングに打ち込んでいた。
11人の中で唯一手を使え、身にまとうユニフォームも違うGKは、サッカーの中でも特別なポジションである。そして良いGKは強いチームには不可欠であり、その存在は非常に目立つものだ。しかし、そんなGKにとって何よりも大切なのは、地味で目立たない基礎の部分であるということを、現役選手である加藤やOBの都築氏ら特別コーチは子供たちに対して語った。
「小学校年代で練習した基本の積み重ねが、将来的なスキルを決める。そして、当たり前のことを確実にできるのが良いGK。練習は地味で退屈に感じることもあるかもしれないが、そうしたことをしっかりと意識し、継続し続けてほしい」。埼玉スタジアムのゴールマウスを守った先駆者たちの言葉に、子供たちは真摯に耳を傾けていた。
最終日、最後のトレーニングが終了した後、土田GKコーチが子供たちを大原サッカー場のロッカールームへと案内した。憧れのトップ選手が使う神聖な場所に、彼らは目を輝かせる。プロジェクトに参加した中から、この場所に選手として戻ってくる選手が出てきたならば、それはレッズにとって無上の喜びと言えるだろう。埼玉の地から1人でも多くの優秀なGKを輩出できるよう、こうしたプロジェクトは継続して、未来のGKに新たな道筋と可能性を示し続けてほしい。(了)




