藤口光紀代表インタビュー
[クラブ]2007年のクラブ業務を終了するにあたり、ファン・サポーターの皆様へ、藤口光紀代表インタビュー~2007年の成果と課題は来季への経験~をお送りします。
レッズの2007年シーズンは公式戦56試合で、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)優勝、リーグ戦2位、A3チャンピオンズカップ3位、ヤマザキナビスコカップ準々決勝敗退、天皇杯4回戦敗退、FIFAクラブワールドカップ(CWC)3位の結果でした。(プレシーズンマッチを含むと計59試合)。アジアへ、世界へとアピールしたシーズンを藤口光紀代表が振り返り、そして来季に向けた課題と抱負を語りました。
■はじめに、今季を振り返っていただけますか?
「Jリーグ連覇とアジア制覇という2つの目標を掲げて、途中までその目標は達成されていました。つまり、アジア制覇は成し遂げたということです。そこでもう1つの目標(Jリーグ連覇)を忘れてしまったわけではなく、選手たちは『まだリーグがある』という気持ちになっていたはずです。これは間違いないと思います。ただ、残り3試合で勝点差も開いていましたから、『いける』『いけそうだ』という気持ちになってしまったというところは否めなかったと思います。そこに落とし穴があった。ちょっとしたスキでしたが、それが非常に怖い。最後の試合に負けたから優勝できなかった、というのではないと思うんですね。最後の試合も、心のどこかにすきがあったというのもあったと思います。いずれにしろ、勝負の世界はそんなに甘いものじゃないと教えてくれたリーグ戦だったと思います。そして、シーズンが終わった今振り返ってみれば、リーグでの悔しさがCWCでの3位という成績につながったのだとも思います。人間は成功ばかりするわけではありません。必ず失敗をするものです。大事なのは、その失敗をどう生かすか。それができる選手たちであり、それができるチームだと思っています」
■このほか1年間を通じて得た成果や課題はありましたか?
「まず、今季は安定したディフェンスがありました。組織で守るということはできていたと言っていい。一方で、攻撃には課題が残ったと思います。チームとしての攻撃、より多くのゴールを取る攻撃、そこは課題であり、これからの戦力補強では攻撃的な選手の獲得を行っていきます。より攻撃的なチームとして生まれ変わろうということで既に監督とも話し合ってあります。また、ACLとCWCではチームとしてフェアプレー賞を受賞することができました。これは非常に素晴らしいことです。Jリーグでも、一発退場、2度目の警告ともにゼロというのはレッズだけです。このフェアプレーの精神で戦うという点は来季も続けていくべきことだと思っています」
■今季、藤口代表の心に残った試合・出来事は何でしょう?
「ACL決勝第1戦、セパハン戦の帰国時、イスファハン(イラン)からドバイへ3機のチャーター便を用意しましたが、その第1便が空調の不調でイスファハンへ戻らねばなりませんでした。3機に分乗した選手、サポーターが、ドバイでチャーター1機にまとまって成田に戻る予定でした。残念ながら、修理を終えた第1便がドバイに到着する前に日本への帰国便を出発させるか、第1便を待つか、決断を迫られました。苦渋の決断をせざるを得ませんでした。帰国後のリーグ戦のスケジュールもありました。第1便を待たずに出発するという決断に至ったわけですが、『サポーターたちはわかってくれるだろう』と甘えさせていただいた部分がありますし、同時に、自分はなんて冷たいやつなんだとも思いました。結果的に、1日遅れで第1便の皆様全員が無事に帰国したと聞いたときは、本当にホッとしました。その日、私も出迎えにいかせていただきましたが、そのとき、サポーターの方のほうから『また頑張りましょう!』と声をかけられ、握手を求められたときは、本当に感動しましたね」
■厳しい戦いを経験して成果や課題を得た2007年も終わります。最後に、来季の抱負を聞かせてください
「今年はJリーグのタイトルを獲ることができませんでした。非常に悔しかった。来季はまずJリーグを獲らなければならないと感じています。また、来季のACLは決勝トーナメントからですが、やはり優勝もその後のCWCも今年1回だけでは意味がないですから、当然、こちらも獲りにいきます。個々のゲームについて言えば、特にホームゲームではよりアグレッシブに、絶対に負けないという試合を展開できるようにしていきたい。そしてトップチームだけではなく、今季はおかげさまで80億近い営業収入がある見通しですから、普及・育成を担当するアカデミーセンターの活動にもっと力を入れ、ユース、ジュニアユースからより多くの優秀な選手がトップへと上がっていく環境を整えていく予定です」