気温は20度くらいだっただろうか。湿度が高く、やや蒸す夕暮れ前だった。 遅めのランチを食べた後、麻浦地区にある弘大入口駅から地下鉄中央線に乗ってソウルワールドカップスタジアムに向かった。 試合開始まではまだ3時間ほどあった。車内は大学生らしき若者たちで少し混んでいた。FCソウルのレプリカを身につけたサポーターを何人か見かけたが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16第2戦、FCソウル対浦和レッズの試合なんて、彼ら以外には特に誰も興味がなさそうだった。 韓国に来るたび、あるいはソウルに来るたび、いつも不思議に思うことがある。この国の街角を歩いていて、サッカーの匂いを強く感じることはほとんどない。というか、まったくない。なのに、なぜ韓国はいつの時代も、アジアサッカー界でトップの地位を維持していられるのだろうか? デジタルメディアシティ駅で地下鉄6号線に乗り換え、一駅先のワールドカップスタジアム駅で降りる。無機質なホームから改札を抜け、長いエスカレーターを昇りきると、目の前には久しぶりのソウルワールドカップスタジアムが現れる。2002年、準決勝の韓国対ドイツ戦の撮影でこの競技場に足を運んだ。あれから14年が経ち、今ここはFCソウルのホームスタジアムとして使われている。 2016年5月25日、ACLラウンド16第2戦FCソウル対浦和レッズは第1戦同様、午後7時半に始まった。集まったのは、14,173人の観客。66,000人収容のスタジアムが満員になることは期待していなかったが、日韓トップクラブの一騎打ちでこの数字はちょっと寂しい。 そのおよそ14分の1、日本から駆けつけた1,000人ほどの浦和レッズサポーターたちは南...


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