2019年07月25日
TURNING POINT vol.06 西川周作「笑顔を取り戻したあの日」
TURNING POINT vol.06
西川周作(GK/1)
笑顔を取り戻したあの日
■苦しかったと語る2017年シーズン
「笑う門には福来たる」
その言葉は、シンガードにもしっかりと刻まれている。西川周作の生き方を示す格言であり、モットーである。
彼がまだ高校生だったころ、「自分に合う言葉はないか」と、自ら探して出会ったことわざは、今では彼を象徴するようになった。
「怒っているよりは、笑っているほうが、周りも幸せになるじゃないですか」
最後尾にいる西川の笑顔は、いつしかチームを安堵させ、チームメイトに自信をもたらすようになった。
ただ、その西川から笑顔が消えた時期があった。
「浦和レッズに加入してから、一番、苦しかったシーズンですね」
そう言うと、西川は切り出した。
「シーズン序盤こそ調子は良かったですけど、その後、なかなか勝てなくなって、監督が交代する事態に陥った。そうした状況で、失点もかなり多かったですし、自分自身のパフォーマンスも思うように示すことができなかった」
2017年のことである。当時ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いていたチームは、7−0で快勝する試合もあり、一時は首位に立っていた。だが、一度、歯車が狂い出すと、急速に下降線を辿っていく。攻撃的なサッカーを掲げていたチームは、勝利を目指して攻めようとするあまり、どうしても後ろが手薄になる。必然的にリスクを抱え、失点も増えていった。そこには、攻守のバランスが崩れていたこともあったが、西川自身も述懐したように、彼自身のパフォーマンスも影響していた。
「左膝の状態があまり思わしくなかったんですよね。当時はそういう目で見られたくなかったこともあって、伏せながらやっていたんです。でも、自分の中では当たり前にできる動作ができない。そのもどかしさや葛藤はありました……」
■トレードマークの笑顔が消えるほどの葛藤
そこには、さまざまな思いが交錯していた。西川が当時の思いを吐露する。
「ピッチに立つ以上、言い訳はしたくないということもありました。パフォーマンスが悪い理由を、『ケガをしている』『どこかが痛い』と言ってしまえば簡単ですけど、試合に出たいGKは他にもいる。その選手たちと毎日一緒にトレーニングをしている中で、試合に出ている自分が弱音を吐くのは失礼にあたりますよね。だから、グッと堪えながらやっていました。それだけに、とにかく毎日が自分との戦いでしたね」
もうひとつ。当時はロシアワールドカップ最終予選の真っ只中。ヴァイッド ハリルホジッチ監督率いる当時の日本代表において、...
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